湘南シーバス=低確率。これは湘南シーバスの人気とは裏腹にれっきとした事実。なぜか?答えは簡単。「回遊してくるシーバスの数に対して、狙うアングラーの絶対数が多いため…」といってしまえば間違いはないでしょうが、実際はそうではないようです。もっとも大きな要因はアングラーが情報に左右されすぎているためであると考えます。釣れたと聞いてはそこへ行き、またほかのポイントで釣れたと聞いてはそちらに行く。これでも運がよければそれなりに釣れますが、公の情報によって知られたポイントは人が多く、当然自分にヒットする確率は極端に落ちます。
ちなみに私の経験から言わせてもらえば、湘南に関しては何十尾もの大群で接岸することはまれで、通常は数尾から十数尾程度で回遊することが多いように思われます。このことからも、人の多いポイントではヒットの可能性が下がると言えるでしょう。
では、安定した釣果をあげるために必要なことはなんでしょう?
それは比較的マイナーなポイントに的を絞り、そのポイント周辺のシーバスの行動パターンを熟知することではないでしょうか。
攻めの釣りに徹する
サーフ及び河口周辺におけるシーバスフィッシングは、一般的には「待ちの釣り」と言われています。湘南シーバスを狙うアングラーにも、いつ回遊してくるかわからない状態でひたすら同じポイントでキャストしつづける人が多く見受けられます。しかしこれでは、たまたま回遊に当たればヒットするでしょうが、効率のいいゲームは期待できません。行動パターンさえ把握できれば、待ちの釣りではなく攻めの釣りができるのです。これができれば回遊してくるシーバスを人より先に釣ってしまうことも可能です。
私はベストシーズンである10月から翌年の1~2月くらいまでは、たいてい1~2箇所のポイントに的を絞り(毎年場所を変える)、そのポイントのシーバスの行動パターンを把握するよう努めています。
今回はその一例として、私が94年10月から95年3月まで集中して攻めたポイントでの釣果をもとに攻略パターンを紹介しますので参考にしてください。
場所は湘南のH川河口です。この河口周辺は冬季、シラスウナギ漁が盛んに行われるところでもありますが、水量はさほど多くなく、大潮の干潮時には河口部の川幅はわずかに3mほどしかないところです。ところがこんな小河川にもシーバスは入ってきます。
94年10月から95年3月までの釣果を先に言うと、ランディング数22本(53~89cm)バラシ数3本、その他フッキングミス10回程度となっています。この結果を状況項目別にまとめたのが次の表です。
月別の釣果
月 ヒット数 ランディング数 最大サイズ
94.11 3 3 74cm
94.12 6 4 86cm
95.1 10 5 89cm
95.2 11 7 63cm
95.3 5 3 60cm
まず月別の釣果を見ると、尻上がりに良くなっています。これはシーズン当初はパターンをよく把握できていなかったことやアングラーの数が多かったためであり、シーバスの数が少なかったわけではありません。
最もよく釣れたのは1月中旬から2月中旬にかけてで、このころはアングラーの数が少なく、釣り場を独占できる状況であり、サイズこそ60cm前後が多かったものの「行けば釣れる」状態で、入れ食いも何度かありました。しかも、この頃は、釣れる条件をほぼ把握していたため、ほんの2時間程度出かけて入れ食いを味わって帰宅するといった非常に効率のいい釣りをしていたのです。
このようにシーバスは比較的まとまって行動するため、釣れる条件の時間帯に集中して攻めないとチャンスを逃がすことになります。ひとつのポイントでのチャンスタイムは雨後のよほど条件のいいときでない限り、良くても2時間、通常は1時間以内です。このことを知っていれば複数のポイントを効率良く「ハシゴ」することも可能なのです。
シーバスは潮を釣れ
潮別の釣果
潮 ヒット数
大潮 ○ 3
大潮 ● 8
中潮 5
小潮 15
長潮 4
若潮 0
ポイント別釣果
場所 ヒット数
ポイント1 10匹
ポイント2 20匹
ポイント3 3匹
ポイント4 2匹
<河口ポイント図>
河口ポイント図解

次に潮別の釣果です。結果から言ってしまうと小潮前後が圧倒的にいいのです。なぜかというとこのポイントに関して言えば冬季にはシーバスの活性が最も上がる夕マズメからPM11:00頃にかけて満潮時刻が訪れるためです。例えば、満潮時刻がPM9:00だとすると、夕マズメからチャンスがはじまり、 PM12:00頃までチャンスが続くわけです。ただし、潮位の変動とともに釣れるポイントが移動するため、一箇所でねばっても数は望めません。ここで、ポイント図を見てください。この場所でシーバスが最も盛んにエサを追うのは図中の1~4であり、潮位の変動とともにこれらを移動するようなのです(もちろんもっと上流にも上りますが)。
また、たいていの場合河川内に入ってくるのは上げ5分位から潮止まりまでで、逆に海に出て行くのは潮止まりから下げ5分くらいにかけてのようです。したがって釣行の際は必ずタイドグラフを見て、ポイントを決定することをすすめます。釣る側もシーバスの行動を予測して「足」を使って攻めるポイントを変えることがヒット数を上げるコツではないでしょうか。
では、小潮とは反対に、大潮前後はどうかといいますと、決して悪くはないのですが、満潮時刻が午前の明るい時間帯に訪れるのがネックです。明るい時間帯には河川内に入ってこないというわけではないようですが、ヒットの確率は格段に下がります。
逆に、干潮時刻が闇夜と重なるため、この場合はポイント図でいうと1と2がメインポイントとなります。当然堤防からでは届かないため、立ちこみで狙うことになりますので、チェストハイウェーダーとライフジャケットは必需品となります。一発大物を狙うのであればこのポイントがいいようです。
さて、潮位とともにシーバスの活性を予測するうえで重要なのが、潮の透明度および流れ具合です。これは河口周辺であればどこでも言えることですが、やはり雨が降ったあとが最も良く、ついで、この河川に関しては南風が吹いて荒れた後でしょう。このようなときはシーバスに限らずベイトフィッシュ(特にボラ)の活性が非常に高くなりパンパン跳ねているのですぐにわかります。
また一般のシーバスは荒れているときがいいとされていますが、このポイントではベタナギ状態でも潮がにごってさえいれば荒れているときよりも確率は高くなります。特に1・2のポイントでは、少しでも荒れると川筋が波によってなくなりポイントが絞れなくなります。潮の透明度別釣果および、海状況別釣果を参考にしてください。
潮の透明度の釣果
透明度 ヒット数
澄み 11匹
笹にごり 18匹
にごり 6匹
泥にごり 0匹
※表中のヒット数はバイト数も含む
海の状況別の釣果
海況 ヒット数
ベタナギ 3匹
ナギ 12匹
波低 13匹
波中 5匹
波高 2匹
大シケ 0匹
ポイントによって攻め方を変える
ポイント別の釣果を見ると、圧倒的に1・2がよくなっています。これは決して河川内の釣果が落ちているということではなく、攻めた回数が多かったためです。河川内専門に狙っているアングラーも多く、結構釣れています。ではなぜ私は手軽な3・4よりも、あえてウェーディングが必要な1・2を主体に攻めるのかというと、これには次のような理由があります。
1 河川内は人が多い
2 醍醐味が違う
3 河川内に比べて使用ルアーに選択の幅がある
4 ヒットしてからのファイトが断然違う
いまや小型ミノー全盛期ですが、河川内では見向きもされない大型のミノーにもバンバン食ってくるのです。理由ははっきりとはわかりませんが、河川内よりも活性が高くなることは事実なのでこれが影響しているのかもしれません。
ルアーのカラーについて
ルアーのカラーについては、なかなか比較検証する機会が少なく、カラーによる釣果の差がどの程度あるのかは正直なところわかりません。でも次のような経験は何度かしています。
「潮がにごっていたのでレッドヘッドを使っていたが、バイトはあるもののなかなか食いこまない。活性が低いものと思い、ナチュラルに近いカラーに変えた途端にストライク!」
私はいろいろなカラーを使って試していますが、それほどシビアに考えなくても良いと思います。それよりもルアーサイズの方が重要で、活性の高いときは 14cmスプラッシャーにフッコクラスでもバンバンヒットしますが、やはり活性の低いときほど小型のルアーが威力を発揮するようです。
小物でもいいから数を釣りたいときは小型のミノー、大物狙いにはやはり大型のトップウォータープラグやミノーでダイナミックに釣りたいものです。
リリースについて
最後に、リリースすることは大変良いことだと思いますが、リリースする際のエチケットとして、ポイントから少し離れて行うくらいの配慮が必要です。魚が寄っているときにバラシたり、リリースしたりすると途端に魚が散ってしまうのはよくあることです。自分以外のアングラーのことも考えてあげるくらいの心の余裕は持ちたいものです。
ランディング8号より再編